ウィリアム・コッツウィンクル 著
内田昌之 訳
近藤達弥 装画
河出書房新社
2011
book, 2011/03
ストレンジ・フィクション・シリーズの三冊目です。前二作もでしたが、これもすざまじい物語です。途中まで読んで挫折する人もいるかもしれません。なぜかというと「人類」と「文明」を突きつけられるからだと思います。カバーを見ていただければお分かりかと思いますが、その「人類」も「文明」も憂鬱になる方のです。主人公はネズミです。それも実験動物のマウスで、実験の結果人間のように考え、感じるようになっているという設定です。
もちろん詳細はここで書きませんが、この本が2011年の3月に発売になったのは象徴的でした。
カバーに描かれたネズミの絵を見ていると、「それでも原発推進だ。いままでそうしてきたんだ。経済だ。効率だ。地下に建設すれば安全だ。」などとのたまっている方々と重なってきます。
この作品では最後にカタストロフィが用意されています。装画を担当してくれた近藤達弥さんが見事な絵を描いてくれました。