ロバート・ヒンシェルウッド
スーザン・ロビンソン
オスカー・サーラティ 絵
松木邦裕 監訳
北岡征毅 訳
金剛出版
2022
book, 2022/11
この本は、カバーのメラニー・クラインのポートレイトをわたしが描いたのと、本文の刷色を特色にする提案をさせてもらいました。『ドクター・スランプ』も『魁!!男塾』も、あるいは『ベルばら』も『はいからさん』も『すすめ!!パイレーツ』も『ストップ!!ひばりくん!』も、われわれはボソボソの色紙に特色(しかも意外と鮮やかな)で刷られた状態ではじめて読んだということを忘れてはならない。ということで。この本を読んでておもしろいなと思った部分を引用してみます。「私は、生まれたばかりの赤ん坊が何を感じているのかを直接知るのは不可能だということを認めた最初の分析家だろう。しかし、この経験の痕跡は、どんな者の中にもずっと残る──それが人生経験の主要形態のままである者もいるのだ。」という部分です。ここで言及されている「この経験」というのは、人間にはそれを実際の経験から学ぶ必要がない早期経験の基盤が、所与のものとしてあるということで、空腹を感じる能力は生まれつき存在しているということです。さらにいうと、「不可能だということを認めた最初の分析家」というところがキモで、これをわたしは「勇気」と呼んでいます。ジョン・レノンが持っていた。ジミヘンが持っていた。カート・コベインも持っていた。オノ・ヨーコも持っている。スティーブ・ジョブスも持っていた。マイルスも持っていた。忌野清志郎も持っていた。あれです。まぁこんなして関心ばかりしてても、お前どうなんだ? って話なんですけど。それがどういうことなのかくらいは理解しておかないと。ということです。