青木由美子 著
河出書房新社
2013
book, 2013/06
さまざまな方(基本的には有名人と呼ばれる方たち)の死にかたを描いているのですが、それは当然逆説的に生きかたを描くことでもあるわけです。個人的には40歳を過ぎてから「人生の一回性」というものに本気で気がつくというのろまな人間なので、ここに出てくる方たちの名前を見るだけでクラクラしてきちゃうくらいなのですが、著者の青木さんの文章からは憐憫や哀惜というものよりは、畏敬や敬意、愛情みたいなものが感じられるので、そういったものを、この本の入り口としてうまく掬い上げられないか? というのが今回の課題でした。
そこで本そのものを、みなの名前を指でなぞることができるような、なにか「慰霊碑」のようなものに仕立てることはできないだろうかと考えました。
OKフロートに加熱空押しです。実際に工場で立ち会いをさせていただきました。漢字は画数がさまざまで空押しの仕方が強いと画数の多い複雑な文字のところにシワがよってしまったり、押しが弱いと画数の少ない文字が目立たなくなるなどいろいろ難しかったのですが、結果には満足しています。
人生は一回しかなく、ほかのどこかに同じものがあるわけではないので、そこに特殊性というものを持ちます。存在するだけでわれわれは特殊で、その特殊性をよりどころとして生きていく。ということなのかなと。