エイミー・モーリン
長澤あかね 訳
講談社
2015
book, 2015/08
この本はもともとブログに投稿されたものが評判になり、フォーブス誌のウェブ版に転載された後、たくさんの読者を獲得し、のちに書籍化されたものだそうです。
著者は心理療法士として患者さんを見た経験と最愛の人を相次いで亡くした自分の経験をもとに13のリストを作ったという経緯で、内容は非常に面白いのですが、ここで注目したいのはウェブから書籍になったということです。
たぶんウェブだと数ページにまたがって次々とページをクリックしていく状態だったろうと予想します。
それが果たして人間の思考形成に合っている状態なのか、それとも書籍のように一冊にまとまっている状態の方が合っているのか、という問題のような気がします。
書籍は根本的に綴じられているため、はじまりからおわりへ少なくともある一つの方向へ進むことになり、それが結果的に人間の論理的思考を育んだとも言われています。マクルーハンなどが指摘していることでもあります。
それとも、情報をその時々の気分や感情のおもむくまま、自分に必要だと思われる部分を恣意的に取り上げて、現在の自分の意見を補強する道具として使うのか。
個人的には、読む前と読んだ後で違う人間に変化してしまうくらいのことを、「読書体験」というのではないかと思っています。変化する、変わることのために読むのが、本なのではないだろうかと。