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メンドクサイ

etc., 2014/12

最近会った若い人と少し話しててちょっと気になったので、普段漠然と考えていたり何かのたびにそのつど思ってたりしてたことをひとつの文章としてまとめてみました。自分でもなんでこんなこと書かなきゃいけないんだか訳が分かりませんが、危機感が沸点に達したことの現れなんでしょう。たぶん。以下、政治のことを含みますのでお嫌いな方は閲覧注意です。また宴席でこの話を持ち出すことはマナー違反になるかと思いますので、ご遠慮ください。

民主主義はヒジョーにメンドクサイものです。民主主義の原則は多数決です。でも、これは「A」か「B」のどちらかに進まなければならない場合にやむを得ず「A」か「B」のどちらかに決めているだけで、多数が「正しい」とか、少数の方が「間違っている」とかいうことではありません。決して多数が正しいとはかぎらない。少数意見がないと、いったん多数意見の方に流れてみた後にそれが間違っていた場合、方向転換が効きません。転換する先への意見は必ず少数派の意見「だった」ものだからです。つまり民主主義は常に多様な意見を含み、それぞれを尊重し合いながら蛇行を繰り返すものです。「リーダーシップのある人物が突然現れてみんなを引っぱっていってくれる」なんていうことはもはや民主主義ではない。だから民主主義はメンドクサイ。

民主主義には個人主義が必要です。個人主義のない民主主義は「なんとなく」ムードに流されていく大衆迎合政治(ポピュリズム)に陥りやすいものです。ポピュリズムはヨーロッパでもそうですが、ナショナリズムや外国人を迫害する排外主義的になる傾向を持ちます。ただ、自分の意見が「なんとなく」なのかそうでないのかは自覚しづらいものです。その時はその行動の根拠になった自分の意見を誰かに説得力を持って説明できるかどうかを自分で検証してみる必要があります。できない、もしくはそんなのメンドクサイと思うようならその意見は「なんとなく」を含んでいる可能性があります。ここでその「なんとなく」を問題にする理由は上にも書きましたが、ほかに言い換えてみると「なんとなく」周りに「同調」しているかもしれないということです。あるかないかわからない周りの空気やちょっと目にした他人の意見に「同調」している可能性。自分の意思のない「同調」した意見の持ち主でいいという人はあまりいないのではないでしょうか。「なんとなく」も「同調」も取り除いた「個人」として立たなくてはならない。だから民主主義はメンドクサイ。

日本の民主主義では議会制民主主義というものを採用しているので、国会議員を選挙で選ぶ必要があります。メンドクサイ。メンドクサイんですが、それをやらないと私たちが生活している社会の根拠としている民主主義が成り立たなくなってしまいます。楽しく遊んで暮らすためには自分がいる社会がある程度安定していなければなりません。そのためには民主主義を維持していく必要がある。そのためには選挙で投票をする必要がある。投票をする権利を有しているということはその権利の行使を果たす義務も有しているということです。そしてその選挙で投票するときには、必ずしも支持する政党や候補者がいる必要はありません。いなくても投票することはできます。ではその際に、どこに誰に投票すればいいのか。ここで「なんとなく」も「同調」も取り除いた「個人」というものが必要になってきます。

最近は選挙のたびに、政策課題に対してアンケートを取ってそれぞれの政党や候補者の考えやスタンスを見ることのできるサイト(今回だとたとえばこれ。)があります。そこでそれぞれの課題について自分の意見と大体合う政党や候補者に入れればいいんです。その際「なんとなく」イヤだなと思っていた政党や候補者の場合があるかもしれません。でも、私たちは「個人」ですから、その「なんとなく」に引きずられることはありません。そして今回投票した政党や候補者に次回も投票する必要もありません。毎回自分の意見と照らしあわせて意見が大体合うところへ投票すればいいんです。自分の意見と違うけど「なんとなく」この政党とか「なんとなく」この候補者というのでは民主主義が成り立たなくなるというのは上で述べた通りです。

個人主義を成り立たせるのは時に難しいこともあります。ヨーロッパで個人主義が醸成されたのは信仰というものが大きく作用していると思います。なぜなら信仰とは全ての価値観を超越した「神」と直接やりとりをするこということなので、信仰において「神」をいったん映し鏡にすることで自分が所属している社会を超越することができるからです。もう現代のヨーロッパで信仰はそこまで力を持っていないでしょうが、個人主義は残った。しかし、そういったものが日本にはない。それに変わるものもない。そこでまずできることとして「なんとなく」と「同調」を自分の中から出来るかぎり取り除くというのは非常に有用なことだと私は考えます。最後に私が大好きなジョン・ライドン(a.k.a. ジョニー・ロットン)の言葉を。「個人としてのみ、俺たちはこの世で勝利することができる。 誰にも頼るな。己だけに頼れ。そして、誰をも失望させるな。それが「成功」と云うんだ! 金のことじゃない。」


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