ヴィクトル・ユゴー 著
永山篤一 訳
角川文庫
2012
book, 2012/12
もはや説明いらず。ミュージカルのアイキャッチにもなっている有名な絵ですが、もとは「1879年-1882年出版のユーグ版のために画家エミール・バヤールによって描かれたコゼットの木版画」(Wikipediaより)だそうです。
今回この記事を書くにあたって、誰が描いたのかをもう一度確認するためにWikipediaなどを調べていたら、挿絵の所に「ユーグ版より」と必ずあり、その「ユーグ版」とはなんなのかという説明も解説も全くないのでおかしいと思ってさらに調べていたら、「レ・ミゼラブル百六景」という本を書かれている鹿島茂さんという方が「その出典は私だ」という旨の記事をブログに書かれていて、ネット上の情報が集積される状態の一端を見た気がしました。
角川文庫版は1960年代にハヴァード大学のポール・ベニシューが編纂した凝縮版の翻訳で上下二巻にまとまっています。完訳版も出ていますが、発表当時の時代背景や構成上の問題、ユゴーの作品のテーマへのこだわりなどからかなり読みにくいものになっているんだそうです。
「だそうです」というのはもちろんその完訳版をわたしが読んだことがないからです。さらに告白するとデザインする本は基本的にゲラを全部読むんですが、時間の制約上この上下巻ですらかなり読み飛ばしました。どちらにしてもゲラを読むときと普段の作品を読むときでそれぞれ読み方も違うので、作品そのものを楽しんでいる場合ではないという事情もありますが。本書は物語の本質をより楽しめるようにという意図の元で凝縮されているので、古典に触れるひとつの選択肢として素晴らしいのではないかと思います。