ショーン・タン
岸本佐知子 訳
河出書房新社
2020
book, 2020/08
このカバー(表紙)に使われている(だけではないですけど、次の本の表紙の絵だとあらかじめ分かっていたという話です)原画を、ちひろ美術館・東京で見ることができたのですが、凄かった。そこまで描かないとダメなんだ。え〜! というヤツ。
タイトルの文字は日本語(漢字とひらがな)で、モトヤステンシルアポロほど整わず、修悦体ほど振り切れず、カバーの男の子が見様見真似で自分なりに工夫して作ったという設定で、実際に紙を切り抜いてスプレーを吹きました。ショーン・タンという人はどんなに動物や不明な生き物が出てきたとしても、郊外までも含んだ都市圏という中からは飛躍しない。そこはあえてしない。どんなに希薄であったとしてもそこで人間関係というものがあり、そんな中できっと、自分の居場所がある。ということを物語る人だと思うのですが、そうなるとコンクリートにスプレーしていく行為は似合っている気がしますね。原書のタイトルがステンシルなんです。なぜステンシルを選んだのかということへの私なりの解釈です。そう考えるとロックンロールもパンクも似合うんですよね。「いい子なんかにならなくたっていいんだぞ!」だけど「大丈夫だぞ!(it’s gonna be alright)」というのが通奏低音のように流れているような人だと思います。
本文組もやってます。