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初恋温泉

吉田修一 著

林和美 写真

集英社

2009

初恋温泉

book, 2009/05

文庫の難しくて面白い所は、大抵単行本っていうのが既にあるんですね。で、その単行本の装丁というのを見ながら打ち合わせをしたりする訳です。もちろん最終的には違うものになるんですけれど、単行本を見るとそれがデザインされていく際の思考の道筋というものが同業者なので分かったりすることがあるんです。

そうなるとその仕事をする上で、その道筋をなぞらずに新鮮な読者として文章にあたる。というのができないと困ったことになるという難しさがあります。

逆に言うと新鮮な読者になれて、それを軸に独自の道筋を見つけ出すことができたときの面白さもある。ということでもあります。

もちろん過程の中での面白さの話で、結果は世の中にゆだねる以外ないんですけど。

これは少なくとも吉田さんご本人に喜んでいただけたと聞くことができました。

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