野地潤家・新井満 他28名
学校図書株式会社
2015
book, 2015/02
中学校の国語の教科書のデザインを担当させていただきました。「指導要領が改訂されるたびに追加されつづけている教科目標のおかげで非常に複雑な教科書になっている」というのが最初お話をいただいた際に全社の教科書を見た時の印象でした。
まずはこの教科(実際には「領域」と言います)の洗い出しと整理から初めて、教科書全体の構造図というものを作成しました。
上記の様なものです。領域は大きく分けて全部で7つあり、いくつかは演習という形で終えるものもあったりなかったり。その前後に巻頭の架橋単元と巻末の資料があるということを確認し全体を再構成し直しました。そしてそれぞれの領域に色を割り当て、それを3年間を通して共通させることで一目で現在学んでいる領域が何なのかを分かるようにするという工夫を加えました。
などなど。他にもいろいろあるのですが、いいものが出来たと自負しております。もうすでに次の機会に改善したいところもあったりしますが。2016年の4月から使われます。
脚注見出しや罫はシアン(「読むこと」に割り当てた色です)にして文章と解説との棲み分けを明確にしています。
なだいなださんの文章には松本大洋さんに挿絵をお願いしました。
領域「読むこと」の最後にある演習「学びの窓」です。イラストもかなり自由に描いてもらいました。
上から「話す・聞く」が赤、「文法」は緑、その横は扉です。「漢字」はベージュ系、「読書」は地にテクスチャを。ここ(夏目漱石「坊ちゃん」)の挿絵は南伸坊さんにお願いしました。最後が巻末資料です。割り当てた色の分離をかなりハッキリさせているのはユニバーサルデザインに配慮することが求められているからです。ただこれは非常に難しいところで、色覚の多様性が非常に多岐に渡るので、これで解決したとは言いがたいと思います。今後の現場からのフィードバックを待ちたいところです。
作業は一旦原稿からなにからすべてを一度こちらでデザインしてからデータを印刷所の方へ渡し、ルビや原稿の修正をやってもらうという形態を取らさせていただきました。膨大な作業量ではありましたが、全ページに手を付けて細かい作業も出来たので、満足しています。