マルク=アントワーヌ・マチュー 著
古永真一 訳
河出書房新社
2013
book, 2013/05
「3秒」のマルク=アントワーヌ・マチューの日本での最新作です。一筋縄ではいかない、かなり哲学的なマンガです。もともとヨーロッパにおいて、科学だったり芸術というものは「神の被造物であるこの世界を理解するため」に発展してきたという側面があると思うのですが、この本でも「神」が登場すると「ヒッグス粒子」がなぜか突然発見されたりします。
セリフもすべてとても「形而上学的」なんですが、でも全体に貫かれている雰囲気はなんだかその「形而上学的」であることを揶揄しているような感じがあります。寓話というものは、そもそもそういう性質を持つものなんでしょうけれど。
ありえない事態を想定して不毛な議論を繰り返したあげく本質的なものを失う。そういうことが世界中で起こっているんだろうなということを教えてくれてもいるようです。