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街のはなし 101 Stories Complete Edition

谷山恭子

街のはなし実行委員会

2023

街のはなし

book, 2023/01









現代美術作家 谷山恭子さんが2014年から横浜市青葉区美しが丘の住宅街で続けていたプロジェクト『街のはなし』が円をとじました。そして最後までデザインを担当させてもらいました。
毎年いろんな世代の住人の方々にインタビューし、その思い出の場所の「はなし」と「写真」と「緯度経度」をアーカイブしていくという作品で、2023年にいままでのすべて、101人の「はなし」を一冊の本にまとめました。印刷・製本は藤原印刷株式会社さん。
インスタの方に『社会や地域の変遷や記憶を「共有」するというのはとても倫理的な営みだと思うし、そうした営みを行うことが、新しい対話や学びを生み、人と人との結びつきを広げて行く。というのを目の前で目撃することのできた貴重な体験でした』と書いたのですが、あえて倫理的と書いたのは、それがいま急速に失われつつあるという危機感があるからです。でも、それが美しが丘にはまだ残っていると感じます。倫理という言葉が分かりにくければカタカナでエシカル(ethical)と表現した方がピンとくる人もいるかもしれない。それが「共有」を醸成すると思います。わたしが公共、共有という言葉を強く意識できるようになったのはこの仕事を通じて実感できたからだと思います。
全448ページ、オールカラーで、カバー(オビと呼ぶ人もいますが)はA2を三つ折りにして本体表紙に巻きました。表1側に101の緯度経度が示された地図。裏は美しが丘の年表。雁垂れ製本の本体表紙(モスグリーン)の紙に白インクでまっさらな美しが丘の地図を印刷。本文の文字組みはちょっと苦労していて、本文の量が人によったり年によってかなり偏りがあるのを台割の関係上、見開き単位(ほぼ4ページ、ちょっと2ページ、ひとつだけ6ページ)で納める必要があったので、本文の版面と写真の版面を別で設定して、写真を本文の版面に出し入れして文字量をコントロールするという手法を考え出しました。3センチの厚みがグッとくる仕上がりになったと思います。入手の方法は〈ここから問い合わせ〉てみてください。在庫があとわずかのようです。
美しが丘でのプロジェクトは終わりましたが、谷山さんはほかの地域や国で新しいプロジェクトを展開していくということなので、それも楽しみです。

 

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