谷山恭子
NPO法人向島学会
東京アートポイント計画「墨東まち見世2011」100日プロジェクト
現代美術製作所
2012
graphic, 2012/03
現代美術作家 谷山恭子さんの「墨東まち見世2011」100日プロジェクト個展用のチラシをデザインさせていただきました。
GPSで緯度経度を計測すると小数点のない切りのいい地点というのがあって、そういう地点というのはもちろん地球上に有限な数しか存在しない訳です。で、その地点にはその土地なりの特徴や記憶みたいなものが同時に存在するんですが、このプロジェクトはそのGPSというツールを媒介に、その土地が持っている偶然性を拾い上げて作品にしていくというものです。
ひたすらに地図をトレースしました。日本の都市の道路はヨーロッパに比べて(あんま比べなくてもいいんじゃないかという気もしますが、比較することで特徴が分かりやすくなることもあるので、とりあえず)複雑といわれますが、この複雑な道路が発現するメカニズムと焼物の表面にヒビが現れるメカニズムには共通点があるという話を聞いたことがあります。最初に太めの道路(ヒビ)ができてそこから枝分けれするようにより細い道路(細いヒビ)ができていく行程を繰り返していく。というものなんですが、きっとこの複雑さを受け入れて、そこに美しさもしくは快適さを見出すようになるのか。それよりももっと秩序だったものを目指して、それを美しいあるいは快適だと感じるのか。どっちがいいとか言う話ではなく、そういう感性の違いが存在するということなんでしょう。
なのでオモテ面の地図トレースはそうとう細かい路地までを含んでいます。これでもかー!と。これを見てどう感じるかでその人の感性を喚起できたら、頑張った甲斐があったのかなと。
このプロジェクトが海外にも行くようになっていろんな地点が記録されるようになると、その土地々々に暮らす人たちの感性の違いも記録していくことになるんだろうなと。もうちょっと飛躍すると、地球だからそれは立体になるねぇ。なんて話で打ち合わせの帰りに谷山さんと盛り上がったのでした。
ということで、2012年3月9日(金)から18日(日)までです。是非。